奇抜な形状のちょっと珍しいヘルメットを購入したのでご紹介します!
今回スタッフ木村が購入したのは、スウェーデンブランド”POC”のタイムトライアル用ヘルメット”TEMPOR”
遡ること10年前の2014年。当時GARMIN-SHARP(現EF Education–EasyPost)が使用し、その見た目で(良くも悪くも)話題を呼んだのが何を隠そうこのTEMPOR。
CFD解析により最速のヘルメットとして誕生したTEMPORは、その空力性能とは裏腹に、奇抜な見た目ばかりがフィーチャーされ、市場にはあまり浸透しませんでした。
その後はTEAM SKY(現INEOS)がKASK BAMBINOを使用してビッグレースを勝ちまくった影響か、TTヘルメット市場はBAMBINOに倣ったショートテールヘルメットばかりになり、しばらく落ち着いていました…
が、しかし!2022年のツールドフランスでINEOSが通常よりも大きいヘルメットを投入したことをきっかけに、各メーカーのTTヘルメット開発競争が勃発!
2024年に入ってからは規則違反スレスレの大型ヘルメットが多数レースに投入されました。
五輪ロード・五輪TT・世界選手権TTと強さを見せたRemco Evenepoelらが使用するS-WORKS TT5や…
常勝軍団VISMAの使用するGIRO AEROHEAD2…
新城幸也が所属するBAHRAIN-VICTORIOUSが使用するRudyProject WINGDREAM…
Jonas Abrahamsenの活躍が記憶に新しい、UNO-Xが使用するSweetProtection Redeemer 2Vi…
レジェンドスプリンターMark Cavendish擁するASTANAが使うRudyProject ALIEN…
ダブルツールに加えを世界選手権も制覇した現役最強レーサーTadej Pogacar擁するUAEが使用する新型?選手供給用プロト?と思わしきMET DRONE…
などなど、従来では
「極力小さくし、前方投影面積を減らすことで空力性能を高める」
という方向性で開発されていたTT用ヘルメットは
「ヘルメットを大型化し、体に当たる空気の流れをコントロールする」
という正反対の方向へと進化。
ヘルメット・DHバー・スキンスーツなど単体での空力性能ではなく、実際の乗車時にトータルで空気抵抗を減らすための設計が今のトレンドとなっています。
近年トップ選手の間で主流となっている”ハイハンズ”ポジションもこのトレンドに加担していると言ってもいいでしょう。
と、昨今のTTヘルメット事情について語ってきましたが、私がPOC TEMPORを買った理由はいたって単純。
「JCFの公認ヘルメットになったから」です。
というのも基本的に国内の競技連盟が絡むレースではJCF公認のヘルメットを使用する必要があります。
このPOC TEMPORも長きにわたり未認可の状態だった為、レースで使用することができなかったのですが…
なんと!2024年に入り、ついにJCF公認となりました!
実物はなかなかにインパクトのあるデザイン。
TTヘルメットとしては珍しく、前面に大きな通気口が設けられています。
これは前面から取り込んだ空気を耳の横あたりにあるダクトから排出し、肩回りの空力を改善するというもの。
コミカルな見た目ながら、非常にロジカルなヘルメットなのです。
写真ではわかりにくいのですが、ヘルメット内側にプレートが設置されており、前面の通気口からサイドダクトまでトンネル状になっています。
気温の高いときはこのプレートを外すと、通気性が得られ冷却性能を向上させられるようです。
気になるサイズ感ですが、スタッフ木村はOGK KABUTOやLAZERのアジアンフィットモデルでは横幅が余ってしまう、日本人としては幅の狭い形をしているため、全く問題なく被ることができました。
逆にアジアンフィットじゃないと被れない…という方にはキツめのサイズ感かと思います。
写真では伝わりにくいのですが実物は複雑な三次元曲面で構成されており、インパクト抜群です。
この投稿をInstagramで見る
この秋からCERVELOやLAPIERREを輸入している東商会での取り扱いが始まったため、今後はPOCユーザーが増えるかもしれませんね。
当店ではPOCのヘルメットを在庫しておりませんが、お取り寄せは可能です。
姉妹店のimpress cycle worksではいくつかのヘルメットを在庫しておりますので是非こちらも合わせてご利用ください。
ちなみにこのヘルメット、トラック競技の世界でも中長距離競技でよく使われています。
2018,2019年にアマチュアチームながらナショナルチーム相手に大活躍したHUUB WATTBIKEや…
トラック強豪国、デンマーク代表も東京オリンピックの前後にはTEMPORを使用していました。
先日のパリオリンピックのTTやトラック競技でも複数の選手が使用しており、明日から行われる2024トラック世界選手権でも複数の選手が使用すると思われます。
そんなPOC TEMPOR。実際に被ってみたらこんな感じ。
正面から受けた風が上手く後方に流れてくれそう。
ちなみに空力的に最適な位置で被ると、視界がかなり狭いので屋外のTTレース走るのはちょっと怖いです…
今まで使用していたKASK BAMBINO PROと比べてみました。
後頭部から背中にかけて、上手く隙間を埋めてくれて平らになっているのがわかります。
フォームを崩すことなく走り切れれば、今までよりも空力は改善されているはず!
実戦投入は11月の2024 Challenge The Izu Velodrome第2戦。
昨年も参加した250mバンクでの計測会。
自己ベスト目指して頑張ります!
ノースバイシクル北海道 (スタッフ木村)